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スズキ渾身のベーシックコンパクトカー『スイフト』の総合情報ファンサイト
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クローズアップ

ここではスイフトの各部にクローズアップして、各部位のデザインや効果について私なりの印象や意見を、読み物として掲載しています。開発者の意図や皆様の印象とは異なる場合がありますので、その点はあらかじめご了承ください。

タコメーター|フロントサスペンション|リヤサスペンション|ヘッドライト
マニュアルミッション|オートマチックミッション|スイフトの魅力

タコメーター


スイフトのタコメーター
スイフトでは6時位置ゼロ指針のタコメーターを標準装備している。これはロードスターやインテグラタイプRなどにも採用されているが、シャープさやスポーティーさ、そしてエンジンの可能性を感じさせるデザインだ。
メーターデザインを比較したとき、真下から指針が開始されるタイプは、回転数が増していくことが直感的に分かりやすい。とくにスイフトの場合は真上90° ですなわち限界となるように刻まれている。エンジンはあまりにもスムーズに吹け上がるため、実際に回すと少し足りない印象で、もっと高回転まで回って欲しいという欲望が生まれてしまうが、そこはあなたも大人、ほどほどにアドレナリンを抑えて走るとしていただきたい。
NAエンジンでは同時に出力の指標でもあり、真上に来たときが最も刺激的に感じられるこの設定は、理にかなっていて分かりやすく、なおかつ安心できるに違いない。(実際にパワフルなのは4000rpm前後であるが)水平位置の3000rpmまでは燃費重視のドライビング向け、水平以上はスポーティー走行用と分けて考えることもでき、ベストな設計だと思う。

余談だが、EGシビックのように水平位置から指針が開始されるタイプは、出力(トルク)の最大発生時を真上とする設定が可能であり、最高回転時には大丈夫かと思うくらい針が右に振れ、「限界を超える」というイメージを与える。その為、ドライバーへの刺激・メッセージ性は強いだろう。かつてのホンダVTEC 車はそれを適用していたが、スイフトにおいてはやみくもに高回転や刺激を求めるわけではない所がポイントである。M13A、M15Aエンジンはあくまでバランス重視の実用エンジンなのだ。
ドライビングはあくまでクールに楽しむべきだろう。

フロントサスペンション【ストラット】

スイフトのフロントサスペンション
ストラット式サスペンションとは、スプリングとショックアブソーバー、そしてロアアームで構成されたシンプルな構造のサスペンションである。
ほとんどのコンパクトカーでは、この形式を採用しており、取り立てて新しくも珍しくもない、オーソドックスなものだ。しかしスイフトでは、いったんサブフレームにマウントされてからボディーに取り付けるという工夫も見られる。これは最近よくある合理的な設計手法で、比較的簡単に剛性を確保できる上、ユニット化されるため組み立ても容易になるというメリットがある。

ストラットとは力を受け持つ支柱のことであり、ショックアブソーバーがその支柱を兼ねている。ショックアブソーバーの下端をロアアームで支え、上端はマウントラバーを介してボディで支える。シンプルな構造のため、部品点数がかさまず重量も抑えられるほか、路面からの振動もボディーも含めた大きな範囲で吸収できる点が特長である。このサスペンションの開発者名をとって、マクファーソンストラット式サスペンションとも呼ばれている。

【メリット】
・簡単な構造で部品点数が少なく、軽量に設計することが可能である。
・バネ下重量を軽くできるため、乗り心地が良い。
・大きなショックアブソーバーを取り付けられるので減衰力効果が大きい。
・ストラット取り付け上端を強化することによって、路面からの衝撃をボディ
へ分散できる。
【デメリット】
・支点が少ないことに起因して、他の形式に比べて強度・剛性が劣る
ためアライメントが狂いやすい。(ダブルウィッシュボーンやマルチリ
ンクなど、支点の多いものの方が当然ながら高剛性である)

しかしなぜ車によってこれほど乗り心地や、車体の反応が違うのか。。それが車の奥深さである。サスひとつとっても、スプリングやショックアブソーバ、ブッシュ、タイヤ、スタビライザー、取り付け強度等など、多くの構成部品と無数のセッティングの中からチョイスされていることを考えれば納得のいく話でもある。

リヤサスペンション【トーションビーム】(トレーリングアーム)

スイフトのリヤサスペンション
トレーリングアーム式サスペンションの一つで、左右のトレーリングアームをクロスビームと呼ばれる棒でつないだ形式のもの。トレーリングとは引きずるという意味で、スイングアームに導かれてタイヤが誘導されるタイプのサスペンションである。

前側に支点があり、そこからトレーリングアームが平行に伸びている。支点が前側にあるためホイールは進行方向に向いたまま左右に傾かず、水平に上下運動することが出来るのでキャンバーやトレッドの変化が少ない方式である。そのためホイールハウスが小さくてすみ、室内を広くできるというメリットがある。
さらに、左右がつながれていることで強度確保、スタビライザー効果が期待できる。これもFFのコンパクトカーにおいては非常に一般的な形式だ。
クロスビームのおかげで横方向の剛性も確保できるところがポイントである。

フロント ヘッドライト

スイフトのヘッドライト

スイフトは大型の縦型ライトを、半円を描くサイドビューに合わせてデザインされ、組み込まれている。縦目は「幅」「太さ」よりも「高さ」「細さ」を感じさせ、離れて見たときにコンパクト感を醸し出すのに一役かっている。

全体、つまり実際のボディーはクラス最大のワイドトレッド設計であるが、この縦目により幅広感をあえて抑えている。ワイドトレッドながらあくまでコンパクトやキビキビ感を主張する所が、絶妙な組み合わせと言えるだろう。
これが少しでも幅広になると、今度はワイド感を強調することになり、コンパクトテイストは薄れるだろう。同カテゴリであるトヨタ イストなどがその例ではないかと思う。押しの強いフロントグリルと相まって、非常にワイドな印象が与えられる。私はイストのデビュー当初、1800~2000ccクラスか?と思ったものだ。

マニュアルミッション

スイフトのMT
スイフトは、ヨーロッパもターゲットとしていることもあって、そちらで主力となるMTにもこだわりをみせている。ひと言で言うとスポーティーな感覚を味わえるように、シフトストローク、セレクトストロークをチューニングしているということ。そして「軽さ」よりも剛性感や接合感といった、機械として心地の良いフィーリングを得ることに時間を費やしたという。

FFだけに、一般的なワイヤーシステムを採用しているが、実際に操作してみると遊びが少なく、ブッシュ類も硬めな印象を受ける。ストロークは左右の動きで、通常だと40mm程度のところを35mm、前後の動きで通常60~70mmのところを55mmといったようにタイトにセッティングされている。指から手首までの動きで操作が可能で、フィーリングとしてはこれまでの国産コンパクトカーではありえない程の、充分合格点を与えられるクオリティーに仕上がっていると言えるだろう。これならMTをわずらわしいというより、楽しいと感じるに違いない。

クラッチは先代スイフトと同じ容量のものを使用しているが、より上質な感触を出すために、油圧式に変更されている。

ギヤ比に関してはあくまで実用的な設定だ。つまり比較的ワイドに、エンジンの回転領域をフルに使って走れるようになっている。だから本格的にスポーティーな走りをしようとするとパワーバンドからは外れてしまうため、少し物足りないのは否めないが、ほとんどの走行シーンではこれで良しと思える設定だろう。
シフトスケジュールとギヤ比は下記の表のとおりである。

位置 許容速度 (1.3L) ギヤレシオ トータルギヤレシオ
(×ファイナル 4.105)
1速 0~48Km 3.454 14.17867
2速 20~88Km 1.904 7.81592
3速 30~MAX 1.280 5.2544
4速 40~MAX 0.966 3.96543
5速 50~MAX 0.757 3.107485

チェンジレバー位置と開始速度の頭の数値が一致しているのは非常に分かりやすい。また、エンジンのスムーズさと相まって、1速でもある程度走りやすい事と、街中なら2-3速でほとんど事足りるような設定となっている。頻繁にチェンジしなくても、アクセルコントロールで済んでしまうだろう。

オートマチックミッション

スイフトのオートマチック
多くの皆さんが選択するのはやはりオートマチックミッションになるだろうか。私は試乗の時一度だけAT車に乗ったが、いまだにゲート式シフトの感触を覚えている。見た目はシャフトが細く頼りない上、ノブは他のクルマに比べて一回り小さい。しかし操作感はとてもガッチリしていて好感が持てた。走りやシフトチェンジを意識している。各ゲートに入れるときは硬いが、信頼感がある。他のコンパクトカーでありがちな、ロックが甘いシフトではATといえども不安になってしまうものだ。

走りに関しては、ロックアップが比較的早めにきくような感じを受けた。多くのAT車は、ある程度の速度が出て、安定走行(クルージング)に入ったとき、トルクコンバータ(流体クラッチ)が直結モードになる。タコメーターを見ていると分かるが、その瞬間にはフッと回転が下がる。トルクコンバータの滑りをなくして、燃費向上を図るシステムである。設計段階でも、シフトショックの低減と、低回転からのロックアップが可能なように工夫を凝らしたと謳っている。実際のフットワークに影響するものではないが、ロックアップされるとダイレクト感が感じられて心地よいものである。
また、3速と4速を左右の動作で切り替えられるのは面白い。他メーカーの”電気スイッチ”の味気なさに比べたら格段に良い。
キビキビ走りたいときは3-4速を意識的にチェンジして走るのが良いだろう。ATでも必要充分に走りを楽しめるものである。

MTに比べての利点は、街乗りで多用する低回転域でMTよりトルクが出ることであろう。先ほどのロックアップとは逆に、トルクコンバータが滑っているときはトルク増大の効果があるので、特にこのようなコンパクトカーは走らせやすいといえる。

このATは、走りや、触れる部分にこだわっているのが良く分かる。またこのハイクオリティーのATを全グレードに標準設定している点も評価できるだろう。

スイフトの魅力

スイフトは、名前の由来こそ「速く動く,迅速な,速い」となっているが、決して絶対的な加速やスピードを言っているのではない。そこは他のスポーツモデルに譲るが、「身のこなしの速さ」では他より抜きん出ているといえるだろう。
例えば、ハンドルを切り返すような場面では、自然に体(ボディー)がついてきて、モタモタすることがない。スパッっと気持ちよく切り抜けることが可能で、それはTVCMでもイメージされた、サッカーのドリブルの身のこなしに似ているのかもしれない。

180km/hでも出さないと真価が分からないハイパワー車より、こちらの方が価値が分かりやすいと思うのである。どのグレードでも、日本で普通に使用するレベルなら、持っている力を使い切れば何ら遜色ない走りを見せてくれるはずだ。車体は、昔のテンロク全盛時の車と比べると1000kgオーバーと重いかもしれないが、動きは軽快で、この適度な重さが実はフィーリングや安定性に一役買っている面もある。

またこの車は少し飛ばす領域(約40~70Km/h)で楽しく、気持ちよく操れるように考えられている。それはハンドリングはもとより、振動や音のフィーリングにも至る。高速に入るとノイジーさが顔をだすが、走りに不安感がないところも素晴らしい。
各部で仕上げの甘さが多少あると感じるかもしれないが、それを補って余りある魅力を備えているといえるだろう。あなたもオーナーになれば、この車のとりこになるに違いない。